成年後見制度Q&A

Q1.成年後見ってどんな制度ですか?

認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。
また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあうおそれもあります。

このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。

Q2.成年後見制度にはどのようなものがあるのですか?

成年後見制度は大きく分けると、法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。
また、法定後見制度は「後見(こうけん)」「保佐(ほさ)」「補助(ほじょ)」の3つに分かれており、判断能力の程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。法定後見制度においては、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(後見人・保佐人・補助人)が本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり、本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、本人を保護・支援します。

Q3.法定後見の申し立ては誰ができますか?

本人、配偶者、4親等内の親族、成年後見人等、任意後見人、後見監督人等、検察官、市区町村長です。

Q4.どんな人が後見人等になるのですか?

通常は申立て時に「候補者」を書きます。実際にお世話をしている親族等が一般的ですが、適当な方がいない場合や、身寄りのない場合、司法書士や弁護士、社会福祉士等の専門家が後見人等に選任されることがあります。候補者を書いたからと言って必ずその人が選任されるわけではなく、家庭裁判所が様々な事情を考慮して選任します。
なお、以下の者は後見人になれません(民法847条)。 ①未成年者 ②家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人 ③破産者 ④被後見人に対して訴訟をし又はした者並びにその配偶者及び直系血族 ⑤行方の知れない者

Q5.1人で遠方に住んでいる高齢の親が悪徳業者に騙されないか心配です

最近は悪徳業者の手口も巧妙になってきており、健康な高齢者や若い人でもこれらに騙されないようにするのは簡単ではありません。
そこで、判断能力が衰えてきたと思われる高齢者が利用できる制度が「補助」という制度です。家庭裁判所で「補助人」を定め、通信販売(インターネット取引を含む)や訪問販売による契約の締結に関しては、補助人の同意を得なければならないと決めておくことにより、補助人の同意無く買い物をしてしまった場合には、その買い物を取消す事ができます。この取消はクーリングオフの期間が過ぎていたり、商品を使用してしまっていても可能です。

Q6.成年後見人が就いているという事は他人にはわかりますか?

成年後見人が選任されると、本人及び後見人の住所・氏名などが登記されます(後見登記)。よって、その人に成年後見人が就いているかどうかは東京法務局から「登記事項証明書」を取り寄せれば確認することができます。
しかし、極めて高度な個人情報ですので、この証明書を請求できるのは、本人、4親等以内の親族、成年後見人、成年後見監督人、任意後見人などに限られています。
昔は成年後見と同様の制度において戸籍記載されていましたが、現在では戸籍には記載されませんので、他人に知られる事はまずないと思います。

Q7.施設や銀行で成年後見人を付けてくださいと言われました

今までは家族が本人に代わってサインして手続出来ていても、それではいろいろと問題があるという事で、最近は施設や銀行、役所などで「成年後見人をつけてください」と言われるケースが増えてきています。成年後見人は家庭裁判所に申立てをして選任してもらうのですがこの書類作成も司法書士の仕事です。

Q8.将来自分が認知症等になって財産管理が出来なくなったら?

高齢化社会において、自分の判断能力が衰えてきた後の事は切実な問題です。このような場合に備えて自分が元気なうちに、司法書士との間で「任意後見契約」を締結しておくというのが一つの解決策として注目されています。この契約では、いざとなったら司法書士が後見人に就任して、ご本人との契約に従って、財産を管理し(ちゃんと年金や給付金が入ってきているか確認し、公共料金や施設代、医療費等の各種支払いを代行します)過ごしたい老後の環境(出来るだけ自宅で過ごしたい、入りたい施設がある等)を叶えるべく契約を代行するなどし、出来るだけご本人様の希望どおりの老後を過ごせるよう尽力いたします。

※一般の方にもわかりやすいように、法律用語等あえて簡略化したりアバウトに記載している場合があります。

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